新潟県下幕末維新期史料調査

一九七九年十一月五日から九日まで、新潟市郷土資料館、新発田市立図書館、新潟県立図書館において、幕末維新期史料の調査をおこなった。調査目的は、史料の所在と内容の概要を把握することであった。調査結果は下記の通りである。
 一 新潟市郷土資料館
 新潟市郷土資料館では、初代新潟奉行川村清兵衛修就文書を閲覧した。川村家は代々、将軍の御庭番を勤めた家柄で、清兵衛は天保十二年五月、勘定吟味役となり、同十四年六月十七日、初代の新潟奉行に就任し、嘉永五年七月晦日まで九年間、その職にあった。以後、堺奉行、大坂町奉行、長崎奉行、小普請奉行、西丸留守居、大坂町奉行、西丸留守居を歴任している。川村清兵衛文書は全体で約一五〇〇点、新潟統治の様相が詳細にわかる新潟奉行の時期のものが中心であるが、そのほか勘定吟味役時代に筆写した蝦夷地関係の諸史料、御庭番の役割を知り得る史料、砲術関係史料、屋敷拝領に関する史料など重要なものを多く含む。調査は文書目録(未刊)を手がかりに、主として政治史に関する史料を選び、内容をノートした。なお、22新潟在勤中日記(天保十四〜十五)、23諸達掛合往復留(天保十四)、24市中御触并触書留(天保十四)、29諸向文通留(天保十四〜十五)、30・37地方諸向文通留(弘化二・三)、31・34公事方諸文通留(弘化二・三)については、既に「新潟市郷土資料館調査年報」の第二・三・四集に詳細な解題と共に史料全文が掲載されているので、ここでは省略する。
 以下に調査結果の概要を記す。数字は目録にある史料番号。

『東京大学史料編纂所報』第15号